出版不況が叫ばれる中、書店以外で新刊本を売る動きが活発になってきた。おしゃれな洋服や雑貨の横に小説を並べて思わぬヒットを飛ばしたり、カフェのメニューに文庫本を加えたり。ネット書店にはない“偶然の出合い”を巧みに演出し、読者を掘り起こす作戦だ。(海老沢類)
特製カバーを付けた文庫本が、お皿に載って運ばれてくる…。東京・南青山にあるスパイラルカフェが4月に始めた「文庫本セット」は、文庫本1冊とドリンク1杯で1350円。「本とコーヒーの相性は抜群で、反応も上々」(同店)。夕方5時以降の限定メニューだが、若い女性を中心にほぼ毎日注文が入る。
仕掛け人は、書店のプロデュースを手がける「numabooks」代表の内沼晋太郎さん(28)。「ふらりと立ち寄ったカフェのメニュー表に本が並んでいたら面白い」と、企画を持ちかけた。文庫本は内沼さんが毎月5冊を選ぶ。5月は芥川賞作家の保坂和志さんの小説や、須賀敦子さんのエッセーが売れ筋だった。
内沼さんは「書店に来ない人たちに本の面白さを伝えるには異業種との連携が有効。店にとっても、本の表紙や内容で目指すイメージを届けられるメリットがある」と話す。
◆雑貨店でも
東京・六本木ヒルズ内で生活雑貨を扱う「TOUCH」も3月から本を売り始めた。絵本や新書など約50冊をタオルや育児グッズなどと並べると、客の滞在時間が延び、雑貨の販売にも好影響が出たという。
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