日本語と中国語(159)-上野惠司(日本中国語検定協会理事)
(18)「退職」「退官」
「ご退官後は何をなさいますか?」近ごろこんなふうに聞かれることが多い。今秋で満70歳、年度末には定年により退職する。そのことを知っていての問いかけである。まじめに答えることもないだろうから(先方もあいさつ代わりに聞いただけのことだろうから)、「読み残した本でも読んで」とか、「庭の草でも抜いて」とか、その場かぎりのいい加減な応答をしている。
「本当のところは?」ですか。困りましたね。本当のところは、「さてどう過ごしたものか」と、思案しているところですから。
ところで、先にも書いたとおり、現在の私は「教官」ではない。したがって定年によって職を退くことになっても、「退職」であって、「退官」ということにはならない。
「退職」というありふれたことばよりも「退官」の方が聞こえがよさそうだから、こちらを使ってくれたのだろうが、「官」嫌いの私はどうも落ち着かない。
(19)「退休」
もっと落ち着かないのは、「ご退休後は……」である。「退休」は文字どおりには「退き休む」だから、「退職」や「退官」ほどあからさまでなくて、響きとしてはよい。
漢語としては珍しい語でもないが、日本語ではあまり使わないのか手元の国語辞典には載っていない。
漢語としての使い方は特に定義があるわけではないが、使用例は大役人が官を退くような場合に多い。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090708-00000117-scn-cn
